介護食品とは(2)
介護食品とは(2)
~生活に寄り添う介護食品~
監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
目次
3.介護食品を食べる時・食べさせる時の工夫
食べる時の姿勢
<テーブルで食べるとき>
・椅子に深く座り、背筋を伸ばした姿勢で、足の裏をしっかり床に付ける
・あごをひくと、飲み込みやすくなる
<車椅子で食べるとき>
・足の裏をしっかり床に付け、座面(シートやクッション)と大腿部・体と背もたれが十分接触していること、腕(肘・前腕)がしっかりひじ掛けで支えられていることを確認する。
・左右に体がふらつく時は車椅子の背もたれや座面の調整を行い、正しい姿勢に整えてから、クッションや丸めたバスタオルなどで隙間を埋めて体を安定させる
<ベッドで食べるとき>
・ベッドのリクライニング角度を60度以上とし、体が下がらないように、必要に応じて膝下にクッションを入れる。枕やタオル、クッションなどで頭を安定させ、あごを少し引いた状態にする
食べやすい食器
・一口量が多くなり過ぎないように小さく、薄く、柄の長さのあるスプーンやフォークを使う
・滑りにくい箸を使うと、食べ物がつかみやすくなる
・握力が弱くても持ちやすいマグカップなどを使う
・返しのある食器や縁の立ち上がっている深めの皿や器を使うことで、食べ物がこぼれにくくなる
・お盆の上に敷く滑り止めマットなどを使うと食器が安定し、食べやすくなる
飲み込む時の注意
1.唾液と混ぜ、よく噛みつぶし、飲み込める状態にしてから、舌と上あごで押し付けてのどに送る
2.誤嚥しないよう、飲み込む時に「ごっくん」を意識し、飲み込んだら「は!」と強く息を吐き出す
3.食べたものが口やのどに残りがちな人は、飲み込みにくいものと飲み込みやすいものを交互に食べること(交互嚥下)がおススメ
上手な食べさせ方
食事中の口やのどの状態はもちろん、食後も呼吸や声の変化がないかなど、よく観察しましょう。誤嚥(飲食物が誤って食道でなく気管に送られること)に早く気がつくことで誤嚥性肺炎の発症を防ぐこともできます。
・それぞれの料理を適温で食べると、飲み込みやすくなるので、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供する
・テレビなどに気をとられながら食べると誤嚥のリスクが高まるので、食事中の周りの環境に配慮する
・「ごっくん」と飲み込んだことを確認してから、次の食事を口に運ぶ
・口に食べ物が入っている時は、返事をしようとして誤嚥するおそれがあるから話しかけない
・スプーンで食べさせる時は、上くちびるでこすり取るようにすると、あごが上がって誤嚥の危険性が増すので、唇が閉じたらスプーンをまっすぐ引き出すようにする
・口の中が汚れていると口腔内の細菌が増え、誤嚥により肺に入ることで肺炎を起こす原因になるので、歯磨きや舌の掃除、うがいを食後の習慣にする
・食べ物が胃から逆流して誤嚥するのを防ぐため、食後はすぐ横にならず30分から1時間ほど上半身を起こしておく