知っておきたい!熱中症予防と水分補給(2)
知っておきたい!熱中症予防と水分補給(2)
~熱中症や脱水症状を起こさない生活のヒント~
監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
3.水分補給はなぜ重要?
水分の大切な働きとメリット
水分は、私たちの体のなかで次のような重要な働きをしています。
・酸素や栄養を全身に運び、体調を整える
・体温を調整する
・老廃物を排出する
・口やのどを潤すことで、スムーズに話し、食べられるようにする
そのため、水分補給には、熱中症予防だけでなく次のようなメリットもあります。
●脱水症状のリスクを下げる
水分が不足すると脱水症状として、のどの渇き、頭痛、めまい、倦怠感、尿意減少、便秘、意識障害を引き起こします。また、脱水が引き金になり、脳梗塞や心筋梗塞といった生命にかかわる重病が起こることもあります。
●認知機能の低下を予防する
適切な水分補給は認知機能の維持にも役立ち、脱水は認知機能の低下を引き起こすおそれがあります。
●便秘を予防する
十分な水分摂取は便秘の予防にもつながります。高齢者は便秘になりやすいため、水分補給がより重要です。
4.上手な水分補給のコツ
水分の上手な取り方
●こまめに水分を摂る
体は一度に大量の水分を蓄えることはできず、度を超した水分摂取は体調を崩す原因にもなります。水分はこまめに補給することがポイントです。飲み物から摂りたい1日の水分量の目安は、1~1.5Lとされています。2~3時間ごとにコップ1杯の水を飲むように心がけましょう。
●飲み物を常備しておく
水や麦茶、スポーツドリンクなどを、いつでも飲めるよう手元に準備しておきましょう。
●アイスやゼリーなども有効
高齢者が飲み物を嫌がる場合には、アイスやゼリーなどでも水分補給できます。
●常温のものも取り入れる
冷たいものを摂りすぎると体が冷えて体調を崩すことがあります。常温の飲み物も取り入れましょう。
●声掛けをする
高齢者はのどの渇きを感じにくいため、家族や周囲の人が「のどが乾かない?」「そろそろ水分を摂ろうか」などと声をかけて水分補給を促すようにしましょう。
水分を摂りたがらない場合の対策
水分が大切だとわかっていても、様々な理由で補給を控えてしまう人がいます。放っておかずに適切な方法で解決してください。
●体温調節機能が低下
暑い時は脳が皮膚の血流量や汗の量を増やして体温を調節しますが、高齢者は脳が暑いと判断してから体が反応するまでに時間がかかり、そのために臓器の温度(深部体温)が急激に上昇することがあります。
●体内の水分量の減少
加齢により体内の水分量が減少し、脱水状態になりやすくなります。さらに体の老廃物を排出するため尿の回数も増えるので、ますます水分不足になりがちです。
●のどの渇きを感じにくい
高齢になるとのどの渇きを感じにくくなり、水分補給が遅れがちです。このため、脱水症状に陥りやすくなります。
●基礎疾患の影響
心臓病や糖尿病などの持病がある人は、これらの疾患や薬の影響で体温調節機能や水分保持能力が低下する場合があります。