食べるたびにむせるときは(2)
食べるたびにむせるときは(2)
~見逃してはいけない食べる機能低下のサイン~
監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
3.むせないための工夫
むせが気になる人は、次のどれかにあてはまりませんか?
□食べる姿勢を気にしていない
姿勢を変えることでむせにくくなる場合があります。
□家族と同じ食事をとっている
やわらかく煮込んだ料理など、飲み込みやすい献立を用意しましょう。口の中に食べ物が残ってしまう人は、お茶などの飲み物と交互にとることで、口の中の残りを流し込むとよいでしょう。
□一口分の食べる量が多い
小分けにすることで、一口の量を減らすことができます。一口分を小さくできるように小さなスプーンやフォークを使ってもいいですね。
むせにくい姿勢で食べる
・背筋を伸ばし、猫背にならないようにする
・あごを引いて、首を長くするような姿勢も効果的
・少し前かがみになることで、食べ物がのどへ落ちやすくなる
・テーブルで食事をとる場合は、両脚を床にしっかりと付ける
・ベッドで食事をとる場合は、ひじの下にクッションやタオルなどを入れると、腕が安定して動かしやすい
自力でできない場合は、体や顔が傾かないように、クッションやタオルなどを使って支えましょう。
飲み込みやすい食事をとる
1.適切な食形態を選ぶ
飲み込む機能が衰えた場合、むせるリスクを減らし、安全に栄養を摂取するために食材を加工しましょう。飲み込みやすい食形態には主に「とろみ付き食事」「ペースト食」「ムース食」「ミキサー食」などがあります。飲み込む力に合わせて最も適した食形態を選ぶことが、食事の安全性を高めるうえで重要です。
2.とろみを付ける
飲み込む力が弱まったら、飲食物にとろみを付けることが必要です。とろみがあることにより、のどを通過するスピードがゆっくりになり、むせにくくなります。
家族と同じ献立の場合は、味が薄くなったり風味が弱まらないように、とろみにも味を付ける、食べる直前に出来上がった料理にかけるなどして料理の味を落とさないように気を付けましょう。
【とろみの付け方】
とろみをつける主な方法には「とろみ調整材」「かたくり粉」「ゼラチン」があります。
とろみが弱すぎると、飲み込みにくいままです。逆にとろみが強すぎると、ベタついて飲み込みにくくなるだけでなく、食道に入るスピードが遅すぎて、のどのフタを閉じるタイミングが合わず、これも誤嚥の原因になります。
食べる人の様子を観察して、適切なとろみ具合に調節してください。
また、とろみ調整用食品でつくる場合はダマができないようによく溶かしましょう。特にジュースやコーヒーなど均一なとろみを付けにくいものには注意が必要です。
3 市販の介護食品を使う
毎回毎回とろみをつけるのは時間的に無理、形の整ったムース食を手作りするのは難しい…と思う方は、手間のかからない市販の介護食品にサポートしてもらいましょう。市販の介護食品を活用することで、調理の負担が軽減され、得られた余裕を大切なコミュニケーションや、ご自身の自由時間に充てることができます。