ムース食を始めるか迷ったら…(その1)

ムース食を始めるか迷ったら…(その1)

~スタートの判断基準とチェックポイント~

監修:管理栄養士 稲山 未来 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

「最近、食事のたびによくむせている……」「前より食事に時間がかかっているみたい……」。在宅で介護しているご家族が、以前より食べづらくなったように思えたら、食事内容を見直すタイミングかもしれません。食事改善のアイディアのひとつにムース食があります。ムース食とは、食事をミキサーなどでなめらかに濾し、ゲル化剤※などを加えて形にした食品で、舌でつぶせるぐらいの柔らかさが特徴です。今まで食べたことのないムース食だけど、本当に大丈夫かしら、と判断に迷う方もいるでしょう。そのような方のために、今回は「ムース食を始めた方がいい?」という疑問にお答えします。
※ゲル化剤……食品をゼリー状やムース状に固めるための食品添加物。

1.こんな変化があればムース食を検討


ご本人の食べ方の変化

ムース食導入のきっかけになるいちばんのタイミングは、食べるご本人の食事の様子に「近頃なにか、気になる……」という変化が見られたときです。摂食嚥下障害と誤嚥のサインについてはのちほど詳しくご説明しますが、以下のように、今の食事ではうまくいかなくなってきた場合はムース食を考えてみてよいと思います。

・飲み込む力はあるのに、ペースト食や流動食を食べたがらなくなってきた。
・やわらかくした食事でも、食べるのに時間がかかったり、食べにくそうにしている。
・きざみ食の食べかすが口に残るようになってきた。よくむせる。
・食べられるものが少なく、同じメニューに飽きている様子がある。

介護をするご家族側の変化

寝たきりであっても、せめて食事の時間は楽しんでほしい。在宅介護をしているご家族の多くは、そう願っています。しかし、食事の準備をすることはなかなかの重労働です。そのようなとき、ムース食が調理や介助の負担軽減に役立つことがあります。以下のようなお困りごとに思い当たるときは、ぜひムース食を検討してみてください。

・家族のための通常食と介護食を同時に調理することに疲れてきた。
・ミキサー食やきざみ食は手間のわりに食が進まず、見た目の面でも抵抗を感じる。
・日々、本人の体調が変わるので、食事の対応も大変である。
・食べこぼしが多くなり、食事のあとは掃除や洗濯物がひと仕事。
・もしかしたら誤嚥をしているのではないかという不安がストレスになっている。

2.誤嚥の危険性とムース食


口の機能の衰えから誤嚥に

食べるための筋肉や機能が衰える摂食嚥下障害。そのままにしておくと、精神的な落ち込みや、QOL(生活の質)の低下、低栄養、体力の衰えなど、いろいろな悪影響が生じますが、中でも命に関わる深刻な問題が、誤嚥性肺炎と窒息です。以下のような兆候が繰り返し現れたら、摂食嚥下障害が始まっているかもしれません。もし気づいたら、医療機関や専門家(医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士など)にご相談いただくことで、早めに対策ができます。

●誤嚥の可能性が考えられるサインの例
 ・食事中に咳き込みやむせがある
 ・飲み込んだ後も食べ物が口の中に残っている
 ・食後に声がかれる
 ・食後に痰が増える
 ・頻繁に発熱する

摂食嚥下障害とムース食

口の機能や筋肉が衰え、食べ物を噛んで飲み込むことがうまくいかない摂食嚥下障害の状態になると、誤嚥を起こすリスクが高まります。その対応策として、口の中で容易につぶせて、まとまりやすく、のどへ送り込みやすいムース食は、安全に食べることを助ける選択肢のひとつです。誤嚥のリスクを減らせるだけでなく、飲み込むことの訓練にもなり、嚥下機能の向上に役立てることもできます。

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