もっと知りたいムース食(その1)
もっと知りたいムース食(その1)
~「やわらか食」との違いや考え方、使い方のヒント~
監修:管理栄養士 伊藤
清世 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
病中病後や加齢などで、いつもの食事が食べづらくなった方が効率よく栄養を摂取するために、ムース食を取り入れることはひとつの有効な解決策です。しかし、市場にはムース食のほかに、やわらか食、ソフト食などと呼ばれる介護食もあり、選ぶ際に迷うこともあります。今回は、ムース食、やわらか食、ソフト食に違いはあるのか、また、それぞれの活用法についてご紹介します。
1.ムース食は、やわらか食?
ムース食とはどのような食事か、ここでおさらいしてみましょう。管理栄養士をはじめ介護食のプロが考えるムース状の食事とは「食事をこし器やミキサーなどでペースト状にすりつぶし、ゲル化剤などで再形成したムース状の食事」ということになります。口の機能の視点から言うと、歯がなくても舌でつぶして食べられるやわらかさに該当します。これに対して、やわらか食は、ムース状の食事を指すこともあれば、野菜などをくたくたに煮たものやだし巻き卵など、やわらかく調理された食事全般を意味することもあります。また、施設によっては「ムース食は歯がなくても舌や上顎でつぶせる食事」「やわらか食は、やわらかくて容易に噛める食事」と区別しているところもあります。このように「やわらか食」にはかなり幅広い食形態が含まれているため、必ずしもムース食=やわらか食ということにはなりません。
必ずしも「ムース食=やわらか食」でないことも
ムース食「市販品」
ムース食「デザート」
やわらか食「おかゆ」
やわらか食「だし巻き卵」
やわらか食「煮魚」
ムース食:食事をすりつぶして、とろみ剤やゲル化剤で再形成した、舌でつぶせるやわらかさの食事。
やわらか食:やわらかく調理された食事。ムース食を含むこともあるし、噛んで食べる食事を含む場合もある。
2.ムース食の活用シーンとメリット
施設だけでなく在宅介護でも注目
歯や入れ歯がなくても食べることができ、飲み込む力の衰えた方にとっても食べやすく、見た目や彩りもよいムース食は、高齢者施設や療養施設でも利用が増えつつあります。また昨今では、家庭でも活用できる市販ムース食のラインナップが増えてきました。そして、ムース食はご家庭で手作りすることもできるのです。普段ご家族が食べているおかずを裏ごしして、とろみ剤やゲル化剤(※)を加えてまとめることで、在宅でもムース食が楽しめます。刻んだり、ペースト状にするところまでは実践されているご家庭も多いと思いますが、固めるというひと手間を加えることでムース状になり、より飲み込みやすくなる場合があります。
※ゲル化剤……食品をゼリー状やムース状に固めるための食品添加物。
ムース食はご家庭でも作れます!
ムース食はこんなときにも便利
ムース食は食べるご本人のみならず、食事を提供する介護者にとっても助かることがよくあります。以下のように、実際の介護の現場でもムース食が役立ったケースがあります。
●ペースト状の食事を調理していたご家庭で提案したところ、よく食べてくれるようになり、食事量が増えた。
●ムース食を食べているときに、噛もうとする口の動きが見られたことをきっかけに、もう少し形のあるものも
食べさせてあげられるようになった。(やわらか食への移行)
●きざみ食だと1回の食事に1時間ぐらいかかっていたところ、ムース状の食事にしたら30分程度に短縮できた。
●ヘルパーさんの来訪時に、市販のムース食を用意しておいたところ利用してもらえた。
●退院した直後で介護食まで気が回らなかったときに、市販のムース食を購入してしのげた。
●食べこぼしが減った。
このように、ペースト食とやわらか食(もしくは、やわらかめの通常食)の中間ともいえるムース食は、移行期の食事にも利用できるほか、市販品を利用すれば食事を支度する手間も軽減できます。介護食のひとつとして「ムース食」という食形態があること、市販品も豊富であること、ご家庭でも調理できることを知って、介護食の幅を広げてください。

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