とろみ付けの重要性(1)

とろみ付けの重要性(1

とろみのキーワードは「均質」

監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

1.不均質なとろみのリスク


熱中症や脱水を予防するためにも水分を摂りたいのに、“むせ”が気になってなかなか飲水量が増やせないという悩みはありませんか?
飲み込む機能が低下すると、水やお茶などの液体を上手に飲み込めなくなり、誤って気管に入って“むせ”が増えることがあります。
この場合、とろみを付けると液体にまとまりができ、のどから食道へゆっくりと流れ落ちるので、むせにくくできます。
しかし、なんでもとろみを付けさえすれば飲み込みやすくなるわけではありません。
適切なとろみ付けには、おさえておきたいポイントがいくつかあります。

とろみを付ける方法

とろみを付けるというと、すぐ片栗粉が思い浮かぶかもしれませんが、片栗粉は唾液と混ざると分離しやすく、その分離した水で誤嚥のリスクが高まります。特に飲料にとろみを付ける場合には、市販のとろみ剤を使うことをおすすめします。

とろみ調整用食品

とろみ剤のなかには、消費者庁の表示許可を受けた特別用途食品のひとつ、「とろみ調整用食品」があります。
とろみ調整用食品には粉末状や液状のものがあり、飲み物に加えて混ぜるだけで、簡単にとろみを付けられます。
片栗粉やゼラチンと違い、加熱の必要はありませんし、熱いものにも冷たいものにも溶け、時間がたってとろみが薄まる心配も少なく、安定した粘度を保つことができます。

不均質なとろみに注意

とろみを付ける際に注意したいのは、不均質なとろみです。
不均質なとろみとは、部分的に硬さが違ったり、ダマになっていたりするとろみのことを指します。
不均質なとろみは気管に入り込みやすく、誤嚥リスクを高めます。
また、おいしくないので飲水量が減り、脱水を引き起こすおそれもあります。

均質なとろみのメリット

均質なとろみは、誤嚥リスクを低減するだけでなく、水分摂取量の増加にもつながります。
なぜならば、“むせ”が起きにくくなることで、安心してこまめに水分補給ができるようになるためです。

とろみを付けた飲料については、こんな例があります。
まずA病院(山口県)の場合は、スタッフのとろみ付け作業を軽減し、患者さんの回復を支援するために、市販のボトル入りの均質なとろみ飲料を採用しました。
とろみ飲料は粘度が安定しているため、これを導入したことで安全でスムーズに水分が補給されるようになったそうです。

また、B医療センター(静岡県)では、均質なとろみがついた飲料を、病院内の売店や自動販売機で販売したところ、患者さんたちに「いつでも飲める」と好評を得ています。
同センターでの評価は、ほかの病院や介護施設での採用にもつながっているとか。
「たかがとろみ、されどとろみ」ですね。

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