介護食品とは(1)
介護食品とは(1)
~生活に寄り添う介護食~
監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
年齢を重ねると、噛む機能が低下したり、飲み込む力が衰えてむせたりし、これまで普通に食べていた食事が「食べづらくなる」ことがあります。そんな時は、普段食べている食事の大きさややわらかさを調整することで食べやすく工夫してみましょう。
このように、食べづらい方にとって食べやすく工夫された食事を「介護食品」といいます。
食事は単に栄養補給のためだけでなく、生活の楽しみであり、日々の活力のもとになります。そのためには、介護される人にどうしたら楽しく安全に食事をしてもらえるかを考えることが必要です。そして、介護する人も無理のないように、お互いが笑顔になれるような介護食作りを心がけたいものです。
1.食べやすい食事の調理
介護食作りのコツ
「硬いものが噛みにくそう」「水分を飲み込む時にむせやすい」など、食べづらさの原因を見極めて、弱ってきた機能を補う食事を作りましょう。食材選びや調理法を工夫し、本人の好みも取り入れた介護食品を用意したいものです。
2.時間をかけない介護食品
介護される人は、体調や気分によっても食べムラがあるもの。そのことを理解して、おやつで補う、食べる環境を変える、新鮮なメニューを取り入れるなど臨機応変に対応し、作る人もストレスをためないようにしましょう。
そのまま食べられる食品の活用
調理なしでも介護食として使える食品は、食欲がある時にすぐ食べてもらえるので、常備しておくと気持ちにゆとりが生まれます。また、買い物に行けない日の食事にも便利です。それぞれの食品で硬さが異なるため、医師などに相談し、食べる機能に応じて用いるようにしましょう。
<常備しておくと便利な食品>
卵・豆腐・納豆・豆類・乳製品(チーズ、ヨーグルト)・牛乳・バナナ・プリン・はんぺん・冷凍食品・レトルト食品・缶詰など
外食の活用
「家族と共に外食したい」という高齢者のニーズに応じて、バリアフリーの空間で介護食にも対応したメニューのある飲食店や宿泊施設があります。インターネットで「介護食品 外食」などと検索して探してみましょう。
市販の介護食品の活用
市販の介護食品も多数販売されています。最近は市販の介護食品を扱う店舗や、通信販売の購入ルートも増えてきているので、かかりつけ医師や看護師、管理栄養士などに相談したうえで、次のことにも考慮して試してみてください。
●噛む力・飲み込む力
食べる機能によって「軟菜」「とろみ状」「ムース状」「ペースト状」「ゼリー状」から適切なものを選びましょう。市販の介護食品の多くには日本介護食品協議会が定めた規格に適合した商品であるUDF(ユニバーサルデザインフード)マークが付いているので、商品選びの参考にされることをお勧めします。
※ユニバーサルデザインフードの記事は今後、公開を予定しております
●栄養バランス・食事量
栄養価が高いものや特定の栄養素に特化したものもあります。食べる人に不足していると思われる栄養を含む食品を選びましょう。
●調理法・保存法
ほとんどがそのまま、または温めるだけで食べられます。また、常温で長期保存がきく製品もありますから、いざという時のためにストックしておくとよいでしょう。
●嗜好
食べる人の好みに合ったメニューや味付けのものを選ぶのもお忘れなく。