知っておきたい!熱中症予防と水分補給(1)
知っておきたい!熱中症予防と水分補給(1)
~熱中症や脱水症状を起こさない生活のヒント~
監修:管理栄養士 髙﨑 美幸 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
気温が上がりはじめると気になるのが、熱中症や脱水症状です。とはいえ、適切な対策をとれば、必要以上におそれることはありません。この記事では、夏に向けて知っておくべき高齢者の熱中症リスクと予防法、水分補給のポイントについて分かりやすく解説します。
1.高齢者は熱中症リスクが高い
熱中症とは
熱中症とは、温度・湿度が高い環境に長時間いることで体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外で活動している時だけでなく室内で何もしていない時でも発症し、場合によっては死亡することもあるので注意が必要です。
高齢者はなぜ熱中症になりやすい?
熱中症患者の約半数は65歳以上の高齢者です。その背景には、加齢に伴う感覚機能や体温調節機能の低下が関係しています。
●暑さを感じにくい
高齢者は暑さに対する感覚がにぶくなり、猛暑日でもエアコンをつけずに済ませることがあります。屋内での死亡者のうち約9割はエアコンがなかったり設置していても使用していなかったという調査結果もあるほどです。
●体温調節機能が低下
暑い時は脳が皮膚の血流量や汗の量を増やして体温を調節しますが、高齢者は脳が暑いと判断してから体が反応するまでに時間がかかり、そのために臓器の温度(深部体温)が急激に上昇することがあります。
●体内の水分量の減少
加齢により体内の水分量が減少し、脱水状態になりやすくなります。さらに体の老廃物を排出するため尿の回数も増えるので、ますます水分不足になりがちです。
●のどの渇きを感じにくい
高齢になるとのどの渇きを感じにくくなり、水分補給が遅れがちです。このため、脱水症状に陥りやすくなります。
●基礎疾患の影響 心臓病や糖尿病などの持病がある人は、これらの疾患や薬の影響で体温調節機能や水分保持能力が低下する場合があります。
2.熱中症は「環境づくり」と「水分補給」で予防
熱中症予防には、適切な環境作りと水分補給が大切です。気温・湿度が高い時期は特に注意しましょう。
室内環境を管理する
・エアコンや扇風機を活用し、室温を28℃以下に保つ
・窓を開けたり、扇風機を使用したりして、風通しを良くする
・除湿機などで湿度を60%以下に保つ
外出時の注意点
・できるだけ曇りの日や暑さが和らぐ時間帯を選んで外出する
・直射日光が当たる場所を避け、日陰を選んで歩く
・帽子や日傘を使用して直射日光を遮る
・通気性の良い衣服や吸汗速乾素材を使った衣服を着る
・こまめに休憩し、水分を補給する
食事&その他の工夫
・水分を多く含む野菜(例:キュウリ、ナス、トマト)・果物(例:スイカ、キウイ、梨)・料理(例:冷ややっこ、お浸し)を摂る
・食べ物や飲み物で塩分を適度に補給する
・1時間ごとにコップ1杯の水を飲むように心がけ、特に入浴の前と後、寝る前には必ず水分を補給する
・寝る時、枕元に飲み物を置く
熱中症になったら
もしもの時のために熱中症の応急処置を覚えておきましょう。
・エアコンが効いた室内や車内など涼しい場所に移動する
・経口補水液やスポーツドリンクなど塩分を含む飲み物で水分を補給する
・扇風機やうちわで風を送り、体を冷やす
・衣服をゆるめ、首筋や脇の下、足の付け根などを冷湿布や保冷剤、氷のうで冷やす
・応急処置をしても症状が改善しない場合はすぐに医療機関を受診する
・自力で水が飲めない、応答がおかしい場合は救急車を呼ぶ