推薦者の声_牧野先生
愛知学院大学
健康科学部 教授
牧野 日和
適切な介護食を提供するために
日頃私達は、いろんな飲食物を口に入れ安全に飲み込んでいます。例えば水はまるのみで、プリンは舌と上あごでおしつぶしして、硬めのせんべいは奥歯ですりつぶし(咀嚼)をしています。まるで精巧な機械のように、私達は口に摂りこんだ飲食物の物性等に合わせて適切に食べているのです。
しかし、加齢や障がいなどが原因でこれらの機能が低下してしまい、うまく食べられない、誤嚥や窒息する方がいます。こうした方の食べ方の特徴を考慮に入れて調理・提供されるのが【嚥下調整食(以下、介護食)】です。例えば「まるのみ」しか出来ない方には「丸飲み食」を、「おしつぶし」が可能な方には「おしつぶし食」を提供します。
しかし簡単にみえて介護食の提供は実際にはとても難しいことです。日常におけるいろんなメニューや食材を、適切調理をするのは大変ですし、その他にも調理後の時間経過によって飲食物の物性は刻々と変化しますし、対象の方が体力がある時と疲れている時では食べ方が異なるでしょうし…。適切な介護食の提供はプロの管理栄養士やシェフでも難しいのだから、ましてや在宅の高齢者夫婦による介護であればなおのこと大変です。持続的な介護を遂行するのが難しく、途中で根を上げるかもしれません。
近年、日本摂食嚥下リハビリテーション学会や日本介護食品協議会などが創出した【基準】に準拠した市販品が多く誕生しました。的を射た介護食を継続して提供するために、自分たちの手で調理することに加え、研究に裏打ちされた市販品をうまく活用されることをお薦めします。
おしつぶしを想定し、さらに手元調整が可能なムース食の登場
現行の介護食には以下の課題があります。
課題1.途中で食べられなくなった人への機敏な対応は難しい
介護食のほとんどはピンポイント(想定した段階の嚥下調整のみ)です。対象者の中には、食事時間によって、日によって飲食能力が変化する方がいます。最初は順調におしつぶしで食べられていた方も、途中で体力が奪われ全く口が動かなくなり、ついには誤嚥が始まるのです。大概は途中で食事を中止にするでしょう。食事摂取量不充分による栄養低下が心配です。
エバースマイルの「ムース食」は、手元調整が可能な介護食です。手元調整とは対象者の食べ方に合わせ食事中に適宜小さくカットしたり、スプーンの背でつぶしたりして、より平易な食べ方で食べられるように調整することです。このムース食は、付属の【調味液】を加えることで飲食機能が低下した場合にも対応し全量を食べてもらえるように、逆に【調味液】を取り除くことで対象者の調子が良い時に、より高いレベルで食べられるように、手元調整により適宜対応することが可能です。
課題2.介護食は見た目が良くなく、美味しくない
介護食は口にする方の安全を第一に考えられた物ではありますが、美味しくない、毎日同じタイプの食事ばかりで飽きてしまうなどの指摘がありました。口にする飲食物である以上、見た目が良く、美味しくないと食欲が落ちてしまいますし、ある程度のメニューのレパートリーがないと飽きてしまうでしょう。
大和製罐さんはこの課題に正面から取り組まれ、ムース食品がひとつの容器の中でそれぞれが混ざらないよう器に工夫がなされ、味が引き立つ工夫(※1)をされました。わたし自身が官能評価をさせていただき大変驚きました。器で味が変わるというのは業界の革命と言えるのではないでしょうか。また品数が35種類(朝食・昼夕食メニュー)も用意されています。賞味期限が製造から12ヶ月(※2)あり、常温でも加温しても美味しく食べられることから、ライフラインが止まるほどの災害を想定した保存食としても有用ではないかと思います。
※1 :朝食メニュー(施設向け)
※2:朝食メニューは賞味期限9ヶ月
とろみ飲料で水分摂取量が大幅アップ!良かったね、お母さん。
エバースマイルの「とろみ飲料」(※1)をぜひ飲んでみてください。このとろみ飲料はとても美味しく、付着性が低くて飲みやすく、本学の学生は講義で使用する食品サンプルだと制止するのをきかずにごくごく飲み干します。
とろみの粘性や濃度、味が精密にコントロールされており、とろみをつける人によってとろみの濃度が毎度違うといったような再現性の問題はありません。特に重度の飲食の障がいを有する方には欠かせない配慮だと思います。
一般的にはとろみの濃度が強いとほぼ確実に味が劣化し美味しくなくなり、結果、とろみ飲料を少し口にした対象者がそれ以上の飲食を拒否する、どんなにすすめても顔をしかめて嫌がる、のどがゴロゴロと音がして飲料がのどの壁面に付着して残る、そうして水分摂取量がとても減ると言われています。生物にとって水は必要不可欠であり、もし水分摂取量が減れば、脳梗塞や脱水などの健康被害が引き起こされることが心配です。エバースマイルのとろみ飲料はこうした課題を克服していると思います。持ち運びがしやすいので外出にも有利で、いつでも気軽に飲めますね。
私が定期的に関わっている老人保健施設の利用者さんに、とろみ飲料を提供したところ水分摂取量が大幅に増え、健康状態への改善効果が見られました。心身の機能が急激に衰え、心配で面会を続ける家族は、とろみ飲料を進んで飲んでいる様子を目の当たりにしてほっと一安心。
「お母さん、良かったね」。末娘は涙を浮かべていました。
※エバースマイルは噛みにくさや飲み込みにくさを感じる方のための介護食品(一般食品)です。
ムース食 : ユニバーサルデザインフード 舌でつぶせる に準拠
とろみ飲料:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2021(とろみ)早見表に準拠