ムース食でビタミン・ミネラル・食物繊維は足りる?(その2)

ムース食でビタミン・ミネラル・食物繊維は足りる?(その2)

監修:管理栄養士 麻植 (おえ)有希子 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

2.不足しがちな栄養素の補い方
 ムース食でも、ちょっとした工夫で栄養バランスを整えることができます。


調理法の工夫で栄養を逃がさない!

ムース食を手作りする際には、次のような工夫をすると、栄養素の損失を抑えられます。
●煮汁も活用する
煮汁には栄養素が溶け出していますから、煮汁ごと一緒にムースにするとほとんど加水せずに済み、栄養素が丸ごと摂れます。ご家族のために煮魚や豚汁などをつくるときは、同時に手間なくムース食をつくるチャンスです。
●加熱時間の短縮
加熱時間の長さは栄養の損失に比例します。「蒸す」「電子レンジを使う」など短時間で調理できる方法を選びましょう。加熱時間を減らすことは、介護する側にとって、食事準備時間の短縮にもつながります。

ムース食以外での栄養アップ法

ムース食に限らず、食事に栄養をプラスする方法には次のようなものがあります。
●スムージーにする
ビタミンは果物や野菜に多く含まれますが、摂食嚥下機能が衰えると生で食べにくくなります。そんな野菜や果物はスムージーで摂るのがおすすめです。ミカンやリンゴ、茹でたニンジンやほうれん草などのお好きな食材にヨーグルトを足すとさらに栄養価がアップします。
また、意外に思われるかもしれませんが、果物を使ったスイーツや菓子パンなどもスムージーにすることができます。手軽に作れるスムージーは忙しい朝の強い味方になるでしょう。

●栄養補助食品やサプリメントを活用
栄養バランスに配慮されたドリンクやゼリー、そしてサプリメントは少量で効率よく栄養を補給できるため、食欲がないときや食事量が少ないときに有効です。

エネルギー量やたんぱく質にも配慮が必要

ご主人が奥様を介護していた、とあるご家庭の例です。献立のレパートリーも少なく、「野菜を食べさせなくては」という強い思いから、鍋いっぱいの野菜を毎食提供していました。しかし、その結果、奥様はだんだんと痩せていってしまったのです。
不安になったご主人が管理栄養士に相談したところ、ご主人は初めて、食事にはエネルギーとたんぱく質が不可欠であることを深く認識することができました。
このようなケースを防ぐためにも、今回紹介した栄養素だけでなく、エネルギーとたんぱく質の重要性、そして効率的な摂り方についても知っておきましょう。

無理なく継続するためのコツ
食事は日々の生活習慣ですから、1品1品ではなく1日のトータルな視点で考えてみてください。「今日は手作りする日」「今日は市販のムース食を使う日」「本人も食べたがらないから、この1食は栄養補助食品を活用しよう」というように、メリハリをつけてみましょう。
手作りにこだわって無理をしたり頑張りすぎるより、その分の時間をコミュニケーションにあててお互いに笑顔で過ごすほうが、介護生活は無理なく続けられます。
不安や悩みがあれば一人で考え込まず、医師や管理栄養士、言語聴覚士、看護師などの専門家に相談しましょう。思いがけないヒントを得られるかもしれません。

安心して食べられるうえに、食欲も引き出しやすいムース食は、介護される方の元気を支えるカギです。さらに、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素も意識して取り入れることで、より健康的な食生活につながります。
食材の工夫、調理法の改善、市販品の活用など、できることから少しずつ組み合わせて、毎日の食事に取り入れていきましょう。

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