ムース食の導入で介護現場の負担はどう変わる?(その1)

ムース食の導入で介護現場の負担はどう変わる?(その1)

~病院、施設における導入成功事例~

監修:管理栄養士 稲山 未来 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社

介護の現場では、調理から準備、食事中の介助、食後のケアなど、日々の食支援に多くの労力を必要とします。そこで今、介護食にまつわる負担緩和策として期待が寄せられているのがムース食です。今回は、ムース食の実際の導入事例と効果的な活用法をご案内します。

1.介護現場にみる食支援の課題


食事介助の人的・時間的な負担増

患者さんや施設利用者の高齢化、介護度が上がっていることなどから、病院や施設では介護食の個別対応が増えつつあります。ひとりひとりの状態に合わせた食事の用意や介助には人手も時間もかかり、とりわけ咀嚼・嚥下困難者の場合は食事介助に注意と時間を要するため、介助者が慢性的に不足しているのが現状です。

食事形態を統一することの難しさ

複数のスタッフが介護食の調理を行う場合、食形態を均一に保つことは大きな課題です。食べる側にとってはいつも変わらぬ食べやすさであることが理想ですが、同じ一口大食でも大きさにばらつきがあったり、舌でつぶせるやわらかさといっても調理する人の感覚によって異なるため、標準化するのはなかなか困難です。

気持ちの上での不安や負担

食事介助には、誤嚥など生命にかかわる事故やトラブルへの不安が常についてまわります。特に摂食嚥下障害の方の介助は時間がかかるうえ、食事が長引くと疲労から誤嚥のリスクが上がるため慎重に行わねばなりません。
こうした緊張感や責任感に加え、食事量が減ることへの懸念や、敬遠されがちな介護食を提供することへの罪悪感など、介護者の精神的ストレスも食支援の課題の一つといえます。

2.ムース食が解決の糸口に!


介助がしやすく、誤嚥予防にも効果的

ムース食は、やわらかな物性で形がまとまっているので、スプーンですくいやすく、口に運びやすく、こぼれにくく、口の中で簡単につぶせて嚥下しやすいのが特徴です。
このため介助の手間が軽減でき、中にはムース食になったことで自己摂取ができるようになる方もいます。嚥下機能が衰えていても、のどを通りやすいので、窒息リスクを減らせる点もポイントです。

見た目や味から喫食率を上げやすい

ムース食は、見た目や彩りがよく、通常食と同じような感覚で食事を楽しめます。素材の味や香りもわかりやすいので食欲を引き出しやすく、喫食率を上げることにも役立ちます。

市販ムース食の活用で負担軽減&効率向上

ムース食の食形態を嚥下調整食の「学会分類2021」に当てはめるとコード3、UDF区分では「舌でつぶせる」もしくは「歯茎でつぶせる」に該当します。
しかし、この食形態は解釈が幅広く、調理する人によって仕上がりに差が出やすいという課題があります。たとえば、ある人はプリンのようになめらかに仕上げ、別の人は寒天のようにややかために作ってしまう、といった具合です。
そのようなとき、市販のムース食を導入することで食形態の統一を図り、調理の目安にすることができます。その結果、食事提供の流れがスムーズになり、トラブル防止や効率化、負担軽減へとつながります。
さらに常温保存が可能な市販ムース食は備蓄ができ、施設の防災対策にも役立ちます。

learn