誤嚥を知って、誤嚥を防ぐ!(その2)
誤嚥を知って、誤嚥を防ぐ!(その2)
~ムース食の効果と安全な食事のポイント~
監修:管理栄養士 稲山 未来 先生
制作・編集:メディバンクス株式会社
2.介護食の安全性とムース食
食形態を調整することの大切さ
誤嚥や飲み込みにくさの原因となる、口の機能の衰え。なんとかしたいとは思いますが、急に機能や体力を向上させることは困難です。食べづらさや誤嚥の不安からますます食が細くなる前に、介護者がいちばんスピーディーにできる対応が「食形態の調整」です。調整といっても難しいことではなく、今の食事をもう少しやわらかくしたり、さらっとした飲み物や汁物にとろみをつけるだけで、飲み込みにくさが改善されます。 気をつけたいのが、食事を細かく刻むいわゆる「刻み食」は、口の中でばらけやすく、かえって誤嚥を招くことがあります。飲み込む力の衰えた方には、刻み食よりもやわらかい食事がおすすめです。
ムース食とはどのような食事?
ムース食とは、食事をミキサーなどでペースト状にして、ゲル化剤(※)等を加えて再成形した食形態です。形はありますが、歯がなくてもつぶせるぐらいやわらかな食感です。
また、飲み込むときにも口の中でまとまりやすく、刻み食のように細かくばらける心配が少ないのもメリットです。
さらに見た目も料理本来の形に近づけることができるため、目でも楽しむことができ、素材の味を活かしやすく、おいしさを感じやすいのが特長です。このため、食事としての楽しみを保ちながら、口の機能の衰えにも対応できる。これがムース食の大きな魅力です。
※ゲル化剤……食品をゼリー状やムース状に固めるための食品添加物

誤嚥予防にムース食は活かせる?
結論からいうと答えは「◎」です。食べるご本人の口の状態に合っていれば、ムース食は誤嚥の予防策として期待できます。ムース食はやわらかさが均一なので噛みやすく、粘り気が少ないので口の中でべとつきにくく、ツルンとすべりすぎることもないので、飲み込みやすいのです。この絶妙な食感が、ムース食が誤嚥しにくい食形態である理由です。
3.細かな配慮で安心感アップ
ムース食の提供時に気をつけたいこと
ムース食をご家庭でつくるときに使うゲル化剤は、メーカーによって使い方に違いがあります。用法用量を間違えると目指すやわらかさにならなかったり、食感が不均質になりますので、パッケージに書かれた使い方を守るようにしましょう。
盛り付けの際は、器の工夫で見た目をよくするほか、すくいやすい食器を選ぶこともポイントです。使い慣れた食器も安心感があってよいでしょう。一緒に出す水やお茶にもとろみをつけると飲み込みやすくなります。
また、ひと口の量が多くなりすぎないように気をつけましょう。スプーンのサイズで調節するのもよい方法です。

ご本人の状態に合わせることが大切
どんなに食べやすそうでも、そしてご本人が自分で食べられる場合であっても、できれば食事中は目を離さず、スムーズに食事ができているかどうか確認することが理想的です。
また、ムース食はスプーンの背などでつぶすと簡単にペースト状になります。その日の状態によって食べにくそうなときは、必要に応じて食事を手元でやわらかくしてあげるとよいでしょう。食べ終わった後もしばらくは様子を見守り、体調に変化がないかどうか気をつけてください。
気になることは専門家に相談を
食事のやわらかさを調節したり、内容を工夫してみても、やはり食が進まず、飲み込みにくそう。そんな場合は無理に食事を促さず、専門家に相談することをおすすめします。飲み込みや誤嚥について相談できる先は、かかりつけ医や歯医者のほか、言語聴覚士、管理栄養士、看護師などです。訪問看護師やケアマネージャーを通じて、専門家の嚥下評価(飲み込む力の評価)を受けることも可能です。小さなことでも誰かが気づき、相談・連携することで誤嚥を予防し、命に関わる事態を防ぐことができます。

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